デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ふぅ、と一つ息をついた。思い切って勇気を出す。

「……別に、嫌だったわけじゃ、ないんだ」

「え…?」

桜がそっと顔を上げた。

「だから、お前と…その、そういうふうに見られたことが。いきなりで、驚いただけだ」

「………」

「他の女なら御免だけどな。お前となら、むしろ、その……」

本当にそうなれたら。

「え…」

二人とも、耳まで顔を赤くして見つめ合う。

「〜〜っ、何でもない!とにかく、言い過ぎて悪かったな。行くぞ、ほら!」

限界をむかえ、少々乱暴に桜の手を取った。

「あ…カ、カナン?」

戸惑う桜を、赤い顔のまま軽く睨んで言う。

「はぐれたらまずいだろ。お前に何かあったら……我が君が嘆かれる」

わざと最後の言葉を付け足して、しっかりと握った。

柔らかくて、温かなその手。

胸にこみ上げる愛おしさに、もう一度、カナンは息をついた。