デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

馬車が王宮の門に着いて、桜はフードを被った。

大きな堀を渡れば、街が始まる。

並んで堀までの林を歩きながら、桜は聞いた。

「カナン、今日はどこに行くの?どういうところがあるの?」

「王都は、王宮から都の大門まで真っ直ぐ走る大路を中心とした商業地域と、その周辺の居住区に分けられる。まあ、居住区なんか見ても家があるだけだから、大路に沿って見ていけばいいんじゃないか」

「今日一日でまわりきれるかな」

首をかしげると、

「無理だろうな。馬や馬車ならわからんが」

あっさりカナンが否定した。

「そっかあ…大きい都市だもんね」

「だが、歩いて見てみたいんだろう?」

緑の瞳が桜を見て、少し笑う。

「そうだね、せっかくだから」

桜もうなずいた。

そうこうしているうちに、堀にかかる橋までやってきた。

「身分証をお出しください」

そう言われたカナンが、衛兵に文官の紋章を見せる。

「……確かに。そちらの女性は?」

「私の連れだ」

言いながら王直筆の通行証を出そうとすると、

「ああ、奥様でいらっしゃいますね」

至極真面目にうなずく衛兵に、二人は固まる。

「どうぞ、お通りください」

道を開け、一礼した。