デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…王様、どうかしたのかな」

呟いて首を傾げる桜と、隣り合って歩く。

「………」

気づかないフリをしている自分はずるいとカナンは思った。
王の気持ちはよく分かるが、桜にそれを言いたくない。

彼女が好きだから。

(…卑怯者だ)

そう自分でも思うが、ちっぽけな自分が、敬愛する主君と渡りあうにはバカ正直では無理だと分かっていた。

「あ、ねえカナン、明日は私、部屋で待ってたらいいの?」

考えても答えが出なかったのか、桜が聞いてきた。

「ああ、迎えに来るから、王宮の門までは馬車で行こう」

少しほっとして、うなずいた。

「楽しみだなー」

「フードのついたケープを忘れるなよ。それがないと街に出られないからな」

自分も楽しみだと告げるのが恥ずかしくて、わざとつっけんどんに言った。

「うん、もちろん。明日晴れるといいねえ」

「?……晴れるに決まってるだろ」

何を当たり前のことをと言わんばかりのカナン。

「え?ここって、雨降らないの?」

「それはもちろん降るが……雨が降る日の前日は必ず神告があるんだ。今日はそれがなかった」

(はあ……便利だな)

桜が感心している間に、客用の宮に着いた。

「じゃあ、付き合わせて申し訳ないけど、明日はよろしくね、カナン」

そう言って微笑む彼女に、少しだけ笑ってうなずいた。

「……ああ」