デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

話が終わって深宮を出ると、いつものようにカナンが立ち上がって王に一礼した。

「お話はお済みでいらっしゃいますか」

「ああ」

「では、桜様をお送りした後に私は仕事に戻ります」

そう言って歩き出そうとするカナンを、王が呼び止めた。

「カナン」

「はい」

「明日の事だが、桜の髪が街の人間の目に触れぬよう、くれぐれも注意してくれ」

静かに言う主君に、「はい」とはっきり返事をし、深々と頭を下げた。

そして、桜を目でうながす。

「じゃあ、王様。また…明後日ですね」

桜も頭を下げて、カナンの横に並んだ。

それを王は目を細めて見た。同い年の少年少女の、しっくりとくるその光景。
どこから見ても、初々しい恋人同士そのものだ。

「…カナン。お前が羨ましい」

少しだけ寂しげに笑い、王は深宮の奥へ消えた。