デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

日本史は思ったより王の興味をひいたらしく、陽が傾いてもまだ終わらなかった。
幕末と近代を残して、桜は話を切った。

「ここから先は、世界史も一緒にお話したほうがいいかもしれないです」

「セカイシ…」

「外国の歴史です。ここから本格的に日本が世界と関わる時代ですから」

と言っても、近代史が苦手な学生は多い。桜もその一人だったので、どこまで正確に話せるかは自信がなかったが。

「そうか、外国の歴史もあるのだな」

パッと王の顔が輝いた。

(聞きたいんですね…)

ふふ、と笑って、桜は言った。

「じゃあそれはまた明日……じゃないか、明後日ですね」

その言葉を聞いて、王が黙り込む。

「王様?」

桜が顔をのぞき込むと、

「いや…何でもない。明日は楽しんで来るがいい」

そう言って、笑顔を作った。

「はい、ありがとうございます」

心から楽しみにしているらしい彼女の微笑みが、胸に痛い。

「王都は、王様の自慢の作品ですもんね。じっくり見てきますね」

その言葉に、一瞬目を丸くする。そして、困ったように笑った。

鈍い癖に、どうして時々こんなに相手を喜ばせることを言うのだろう。

暗くなる前に帰ってこいとか、護衛をつけるとか、帰ってきたら会いたいとか、言いたいことは山ほどあったのに、言い出せなくなってしまった。