デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

いつものように、話をする部屋の帳を払うと、笑顔の王が出迎えた。

「桜」

「こんにちは。あの…今朝はお見送りもしないですみませんでした」

少し顔を赤くして、頭を下げた。

「ああ、気にするな。その代わり、そなたの寝顔は存分に見れたからな」

「うっ……」

固まる桜にまた笑って、王は席をすすめた。

愛する人がいる部屋を出て、仕事が終わったらまた会える。妻を持つというのは、こういう事だろうかと思った。

「ええと…じゃあ今日は何をお話しましょうか」

「そうだな、ではそなたの国の歴史がいい」

日本史。高校では選択していなかったから中学までの知識だが、多分また質問攻めだろうから、間は持つだろう。

だんだんとこの世界に馴染んできたのか、桜からの質問より、王の質問の方が多くなってきている。

「分かりました。ええと…縄文時代くらいからかな」

紙と筆記用具を借りて、それぞれの時代を書き出していく。
漢字を見つめる隣の顔は、すでに好奇心で輝きだしていた。

次は漢字の質問かもな、と思って、桜はクスリと笑った。