デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(えええ……)

また何か、スイッチを入れてしまったらしい。

「カナン様と、明日街にお出かけになるんですの!?」

「……それも、珍しいんですか…」

深ーくうなずく、二人の女官。

「だって、ねえ?カナン様って…」
「あんなに美形なのに、全然そういう噂聞かないよね」
「それどころじゃないよ、わざと女を避けてるもん」
「だから、絶対にあっちの人だって、皆言ってるよね」

「……」

事情を知る桜は、小さく苦笑いした。

「カナン様も、普通に女性がお好きなんですね……」

うんうんとうなずき合う二人に、また桜はあわてて訂正する。

「いや違うんです、私とカナンは友達で、私が退屈してるから、明日のお休みに街に連れて行ってくれるんです」

そう言うと、ズズイ、と二人はまた顔を寄せてきた。

「桜様。桜様がそのつもりでも、カナン様はそうとは限りませんわよ」

「そうです!だってはたから見たら、立派なデートですもの」

「デっ……」

ボッと桜の顔が染まった。

「そ、そんなんじゃないですよ……」

自分に、カナンが街を案内してくれるという認識しかなかった。

下を向いてもごもごと言いよどむ桜を見て、フラウとルネは顔を見合わせ、うん、とまたうなずきあった。

「桜様、明日の朝、私メイク道具持ってきますわ」

「へっ」

「明日何を着て行かれるんですの?…あ、あのミントグリーンのワンピースですわね、よく合う髪飾り、持ってますの」