デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~


スニーカーまで奪われて一糸まとわぬ姿の桜の髪をつかんで、むりやり中年男が立ち上がらせた。

「……」

恐怖にただ体が震え、涙がうかぶ。

何を、されるの。まさか、まさか。


そんな桜の心中を見とおしているかのように、スキンヘッドの男の一人が『フン』と冷笑し、ペッと彼女の顔にツバを吐きかけた。


お前のようなデブスに興味はない―


そう言うように。

グイ、と髪が引かれ、桜はよろける。

中年男が、さっき桜が気付いた奥の出入り口のカーテンに向かって歩いてゆく。