デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そうやって、桜が一人で悶々としていると、スッ、と部屋の引き戸が開かれる音がした。

(!)

王様が帰ってきた……。

不愉快だった、明日お前は獣の餌だと言われたらどうしようと思いながら、布をかぶったまま恐る恐る振り返った。

まだ湿り気を残す藍色の髪に、素肌に夜着をゆったりと着たその姿は色気が匂い立つようで、桜はまた赤面した。

(何でそのへんの女の人より色っぽいの?おかしいよ)

王はいつものように静かな表情だったのだが、桜の視線に気づいてこちらを見ると、ビクリと目を見開いてカッと頬を染めた。
そして足早にソファを通り過ぎ、離れた寝台に腰掛ける。

(……やっぱり、怒ってる…)

頭から被った布の下で、桜は青くなった。

(謝って、許してくれるかな)

横を向いて、長い髪で表情が見えないその人をそっと見る。
今までは必ず王の方から話しかけてくれたので、どうしていいか分からない。

(でも、やらかしたのは私の方だから)

ぱさ、と頭に被っていた布を取り、ソファから立ち上がり、おずおずと寝台に座る王に近寄る。