デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

王の部屋から湯殿までは一直線だったので、幸い桜にも帰り道が分かった。

光の速さで体を拭き、夜着を着てワンピースをひっつかんで戻ってきた。
まだたっぷりと水分を含んだ髪の上から布をかぶり、ソファの上で小さくなっている。

部屋の主は、まだ帰ってこなかった。

(…………)

ひどく大それた事をしでかした。そう思った。

(じ、じ、じ、自分からあんな事……)

「ああああもう…!」

羞恥に悶絶しながら髪をわしわしと布の上からかき乱す。

あの雰囲気を何とかする言葉が浮かばなくて、でもあんなに真剣に、自分みたいなデブスに好意を告白してくれる人にあんまりだと思ったから。

…それって、同情?

(いや、違う違う!王様みたいにキレイな人に、何で私が同情するのよ!身の程知らずもいいとこだよ!)

そうじゃなくて、少しでも応えられたら、と思ったのだ。

でも今落ち着いて考えたら、『変なこと言ってごめんなさい。ありがとうございます。まだ自分の気持ちはわかりませんが、お気持ちは嬉しいです』とキチンと言えばいいだけの話ではないか。

(ち、ち、チュウなんかする必要、ないよね………?)

しかも、あんな、お風呂で。

(デブスのくせにやらしい奴って思われたかなぁ)

明日王宮から放り出されたらどうしよう。

つう、と汗が額を伝った。