デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そんな王の葛藤など全く分からず、ゆでだこのようになっている桜。

(ああああ裸裸!今裸だってば王様!!)

とっくに混乱と恥ずかしさの限界だ。

何でこの人はこんな事が自然に出来るの?

お風呂でぎゅってして、また告白とか普通できないよ!

やっぱり慣れ?慣れなんですか?

フルフルする唇で、王のせつなげな告白に、なんとか返事をする。

「ハイ。それは今朝聞きました」

言ってしまってから、おいおいさすがにその返しはないだろと気付く。
いくらなんでもぶち壊しだ。デリカシーがなさすぎる。


現に、王からは戸惑いの沈黙が気まずく流れていた。


ど…どうしよう…

何か言わなくてはと思うが、恥ずかしさと焦りとお湯の熱で、全く頭など働かない。

加えて、桜は恋愛経験ゼロなのだ。

気の利いた言葉でこの雰囲気をリカバリーなどできる訳がない。

(王様は真面目にまた好きって言ってくれたのに!)

自分の気持ちはまだわからないが、ひたすら申し訳なくて、必死に考える。

(す、す、好きな人にされて嬉しいことって何だっけ?何か、してあげないと)

頭上でフッ、と苦笑する気配がして、桜の頭をなでた。

「…湯あたりするな。上がろう」

そう言って、そっと桜を膝から降ろそうとする。

「あ、ま、待って!」

あわててその手を押しとどめ、夢中で伸び上がって。

―――ちゅっ。

頬に小さく、一瞬だけ唇をつけた。

目を見開き、驚愕の表情で固まる王に、あわあわと言う。

「ご、ごめんなさい、あの、全然まだあの、分からないんですけど、ありがとうございます」

全く要領の得ない言葉を残し、桜は脱衣所に逃げ帰った。