「…あの二人の武官が、そなたの肌を見たかと思うと、非常に不愉快だ」
体は触れずに後ろからそっと、桜の耳元でささやく。
「だ、だからあれは事故で………しょうがなくて……」
すっかり困ってしまい、きゅっと唇を噛んだ。
「それでも嫌だ」
少しすねたような声色が混じる。
「それとも、あの二人ならいいが、私は嫌なのか?」
「ち、ち、違………だから、は、恥ずかしいからに決まってるじゃないですか…」
「この湯殿は露天でな。もう夜だし、明かりも多くない。暗いから大丈夫だ」
何が大丈夫なのか。意味がわからない。薄暗いだけで、見えるものは見える。
「そ、そういう問題じゃ………だって、あの、私、こんな姿だし、自信なんてありません。王様がいつも一緒に入ってたような……薄紅女官さんみたいにきれいじゃないんですから」
あまり回らない口であわあわと必死にそう言うと、グッ、と強い力で背中の部分をつかまれた。
「そなたの口から、そんな言葉は聞きたくないと言ったはず。……あと一度でも私と薄紅女官の事を言ったら、問答無用でその服を引き剥がすぞ」
冷たい怒りを孕んだ、低い声。
自分がしていたこととは言え、桜の口から、他の女との艶事を平然と聞かされるのは耐え難かった。
彼女の気持ちが自分にはない、と言われているのと同じだからだ。
そんな心中など露知らず、思わぬ脅しに固まる桜にもう一度、「先に入っている」と言い残して、王の気配が引き戸の向こうに消えた。
体は触れずに後ろからそっと、桜の耳元でささやく。
「だ、だからあれは事故で………しょうがなくて……」
すっかり困ってしまい、きゅっと唇を噛んだ。
「それでも嫌だ」
少しすねたような声色が混じる。
「それとも、あの二人ならいいが、私は嫌なのか?」
「ち、ち、違………だから、は、恥ずかしいからに決まってるじゃないですか…」
「この湯殿は露天でな。もう夜だし、明かりも多くない。暗いから大丈夫だ」
何が大丈夫なのか。意味がわからない。薄暗いだけで、見えるものは見える。
「そ、そういう問題じゃ………だって、あの、私、こんな姿だし、自信なんてありません。王様がいつも一緒に入ってたような……薄紅女官さんみたいにきれいじゃないんですから」
あまり回らない口であわあわと必死にそう言うと、グッ、と強い力で背中の部分をつかまれた。
「そなたの口から、そんな言葉は聞きたくないと言ったはず。……あと一度でも私と薄紅女官の事を言ったら、問答無用でその服を引き剥がすぞ」
冷たい怒りを孕んだ、低い声。
自分がしていたこととは言え、桜の口から、他の女との艶事を平然と聞かされるのは耐え難かった。
彼女の気持ちが自分にはない、と言われているのと同じだからだ。
そんな心中など露知らず、思わぬ脅しに固まる桜にもう一度、「先に入っている」と言い残して、王の気配が引き戸の向こうに消えた。
