デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

少しずつ夜が更ける。日中は暑い日も増えてきているが、夜はまだ少しひんやりとしていた。

「……さてと」

スル、と王が髪紐を解いた。

「湯を浴びようと思うが」

桜を見て言う。

「あ、はい。行ってらっしゃい」

桜は小さく笑う顔を見上げ、こくんとうなずいた。

「ん?」
「え?」

二人とも、顔を見合わせて首をかしげた。

「湯殿に行くぞ」
「?はい…ごゆっくり」

キョトンとして、桜はもう一度うなずいた。

「そなたも行くのだぞ」
「はっ!!??」

王の発言に素っ頓狂な声を上げ、驚きのあまりにひっくり返りそうになる。

「何、何言ってるんですか!?」
「女官がいないからな。介添だ」

にっこり笑って、さあ、と桜の腕を取る。

「ちょ、ちょちょっと待ってください!薄紅女官の代わりじゃなくて、一緒にご飯食べて、お話するだけって……」

「うん、だから、湯殿でも話をしよう」

おかしそうに笑いながら言う。

「な、何もお風呂でまでお話しなくていいじゃないですか、私ここで待ってます!」