それにしても、ここは一体何なのだろう。
明らかにまともな場所ではなさそうだけど、このテントの中は明らかにこの連中の生活スペースという感じがした。
あざ笑われながらも、目線だけ動かして室内を見回した。すると、部屋の奥に、もうひとつ出入り口のカーテンがかかっている。
…あの向こうは何……?
なぜか、嫌な予感がする。
思わず桜が眉をひそめた時だった。
―シュイン
すぐ近くで金属同士がこすれる音がして、桜はハッと目の前のスキンヘッドの男へ意識を戻した。
下卑た笑いを浮かべながら、抜き放った腰の刀を桜へ向かって振りかぶる。
「ひ…!」
よける暇など、あるはずがなかった。
