デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「そう、あからさまに避けられると…さすがに傷つくな」

目を伏せて、小さく笑う。その姿が何とも孤独で、寂しそうだ。

しまった、嫌な思いをさせてしまった。

「あ…ごめんなさい、あの…」

慌ててそっと桜が手を伸ばすと、すかさずそれを取り、グイ!と彼女を引き寄せた。

「わあ!?」

そのまま自分の腕の中に閉じ込めて、またくすくすと笑う。

「何をそんなに緊張している?何か嫌なことでもあるのか?それとも…何か期待しているのか?」

こつん、と自分と桜の額を合わせて聞いた。

本日何度めかの赤面。

「ち、ちちち違います!期待なんかしてません!」

(もうぅ〜〜!またからかわれた!)

しかもまだ王の軽く組まれた腕の中だ。恥ずかしすぎる。

一方王は、桜の全くこなれていない反応が新鮮で、楽しくてたまらない。

プルプルする桜の耳元に、ふっ、と吐息を吹きかけてみた。

「ひゃあぁ!」

もはや首筋まで赤くして、腕の中で小さく飛び上がった。

(あ、明後日の分まで、話をするんじゃなかったっけ!?)

こんなはずでは。混乱する頭で思った。

また、王が声をたてて笑い出す。