「え、あ…」
びっくりして、ぱくぱくと口を動かす。
「だ、だって、ほんとの事……」
桜が小さく反論すると、すっと紫の瞳がその光を消した。
「…そんな事を言って良いのか、桜?ここは深宮の一番奥だ。そなたが泣こうが喚こうが、外には絶対に聞こえない」
彼女の左手首をゆっくりとつかみ、自分の口元へ持っていく。
「私がその気になれば、明後日の外出どころかそなたを一生外に出さず、私以外の誰にも会わせることなく閉じ込めることなど、造作もない。…今すぐ、試してみようか」
「……あ……」
その目に、ゆっくりと何か得体の知れない感情の火が見えるような気がして、桜はじり、と後へ下がった。
「…………ふっ」
と、王が吹き出した。
「ふふふ…そう怯えるな。そんな事するわけないだろう」
手を離し、クックッとおかしそうに笑った。
「もう!びっくりさせないでください」
ふう、と息をついて、桜は王を睨んだ。
やたら真に迫った演技だったから、まだ心臓がどきどきしている。完全に騙された。
その横顔を、微笑みを浮かべて見つめる王。
―――そう、そんな事はしない。そなたが、私以外の誰かを選ぼうとしない限り。
びっくりして、ぱくぱくと口を動かす。
「だ、だって、ほんとの事……」
桜が小さく反論すると、すっと紫の瞳がその光を消した。
「…そんな事を言って良いのか、桜?ここは深宮の一番奥だ。そなたが泣こうが喚こうが、外には絶対に聞こえない」
彼女の左手首をゆっくりとつかみ、自分の口元へ持っていく。
「私がその気になれば、明後日の外出どころかそなたを一生外に出さず、私以外の誰にも会わせることなく閉じ込めることなど、造作もない。…今すぐ、試してみようか」
「……あ……」
その目に、ゆっくりと何か得体の知れない感情の火が見えるような気がして、桜はじり、と後へ下がった。
「…………ふっ」
と、王が吹き出した。
「ふふふ…そう怯えるな。そんな事するわけないだろう」
手を離し、クックッとおかしそうに笑った。
「もう!びっくりさせないでください」
ふう、と息をついて、桜は王を睨んだ。
やたら真に迫った演技だったから、まだ心臓がどきどきしている。完全に騙された。
その横顔を、微笑みを浮かべて見つめる王。
―――そう、そんな事はしない。そなたが、私以外の誰かを選ぼうとしない限り。
