深宮の奥の方に、王の私室はある。
王の後ろから着いて、上の星の絵を眺めながら桜は歩いた。
急に人が少なくなったからだろうか、いっそう宮の中はしんとして、外から差し込む夕陽だけが眩しい。
「着いた。ここだ」
立派な引き戸の前で、王は足を止めた。
(大きな扉…)
桜は目を丸くする。当たり前だが、今まで見たどの部屋の扉より大きい。
そこを開けると、ものすごく広い部屋だった。天井は高く、複雑な灯りの形は、まるでシャンデリアのように込み入っていて豪華だ。
庭に続く格子づくりの障子には木の透かし彫りがしてあって、それが四方の壁のうち、二面を占めていた。
そして、天蓋のついた大きな寝台。一人で寝るにはあまりに広い。上からは薄い布が下がっている。
部屋の手前には大きなソファ、そして4つの座椅子とテーブル。毛足の長い絨毯が一面に敷かれている。
「大きなお部屋ですね……」
呟く桜に、王は肩をすくめた。
「そうだろう?この半分で十分なのにな」
そう言って、桜にソファをすすめ、自らも隣に座った。
「じき、夕餉が来るだろう。それを下げたら女官たちは仕事が終わりだ」
「そうなんですか……なるほど、じゃああとは薄紅女官さんたちが王様の身の回りのお世話をしていたんですね」
ふんふんと聞きながらなんの気なしに言った言葉に、王はグイと桜の両肩をつかんで自分の方に向かせた。
「そなたの口からそんな言葉は聞きたくない」
じっと桜の目を見て言う。
王の後ろから着いて、上の星の絵を眺めながら桜は歩いた。
急に人が少なくなったからだろうか、いっそう宮の中はしんとして、外から差し込む夕陽だけが眩しい。
「着いた。ここだ」
立派な引き戸の前で、王は足を止めた。
(大きな扉…)
桜は目を丸くする。当たり前だが、今まで見たどの部屋の扉より大きい。
そこを開けると、ものすごく広い部屋だった。天井は高く、複雑な灯りの形は、まるでシャンデリアのように込み入っていて豪華だ。
庭に続く格子づくりの障子には木の透かし彫りがしてあって、それが四方の壁のうち、二面を占めていた。
そして、天蓋のついた大きな寝台。一人で寝るにはあまりに広い。上からは薄い布が下がっている。
部屋の手前には大きなソファ、そして4つの座椅子とテーブル。毛足の長い絨毯が一面に敷かれている。
「大きなお部屋ですね……」
呟く桜に、王は肩をすくめた。
「そうだろう?この半分で十分なのにな」
そう言って、桜にソファをすすめ、自らも隣に座った。
「じき、夕餉が来るだろう。それを下げたら女官たちは仕事が終わりだ」
「そうなんですか……なるほど、じゃああとは薄紅女官さんたちが王様の身の回りのお世話をしていたんですね」
ふんふんと聞きながらなんの気なしに言った言葉に、王はグイと桜の両肩をつかんで自分の方に向かせた。
「そなたの口からそんな言葉は聞きたくない」
じっと桜の目を見て言う。
