デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

バスに乗り込むと、ほうっと息をついた。

ああ、もう安全。

あの学校から、走り去れる。

本当は買い物だってあの近くではしたくなかったが、桜の家の近くには本屋がなかった。

ゆっくりとバスが、彼女を安全な家へと運びだす。

心ない他人の蔑みの目のない場所へ。
善良な他人の、残酷な哀れみの目のない場所へ。





暗くなりかけた外をふと見ると、ガラスに映った自分と目があった。


奥二重の、ボテッとしたまぶた。

手入れも諦めた眉。

ニキビが1、2、3……7つ。そのうちの一つは、ご丁寧にも鼻の上。

硬くて真っ黒な髪は、ムダに長い。美容室になかなか行く勇気が出ず、このザマだ。

そして、パンパンに膨らんだ顔。


子供の頃から、ブス、デブと言われ続けて育った。

はじめは泣いて否定していたけれど、もう最近では曖昧な愛想笑いをうかべている。


「ほんと、ブス…………」


ポツリと独り言が、夕暮れに溶けていく。


デブだから、かわいい服なんて着られない。

だから、メイクなんて意味ない。


甘いお菓子があればいい。

ラノベの中では、私だってお姫様。