デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「よかった、私の世界と大体同じです」

桜は混乱せずに済んで、一安心。

王はというと、桜の手元にある計算式を珍しそうに見ている。

「そなたらの世界の文字か……」

掛け算自体はもちろんこの世界にもあるが、数字は違う。

「ええ、アラビア数字って言うんです。私の国には、この他に漢数字もあるんですよ」

「あらびあ……」

好奇心にきらきらと顔を輝かせるその顔は、まるで少年のようだ。

「はい。砂漠の国々が多いところですね」

思わず桜はふふ、と笑って、

「王様、良かったら、外国のお話をしましょうか」

そう提案した。

それからは、すっかり外国の話に魅了されたらしい王に質問攻めにあったが、どうにかこうにか答えていくうちに、すっかり二人の間の緊張感は取れていた。



時間を忘れて話をしていると、気付けば陽はすっかり傾いていた。

「……あ、もう、帰らなきゃいけないですね」

ふと障子から差し込むオレンジの光を見て、桜は言った。

「……」

王が目の輝きをふとひそめた。

「もう、そんな時間か?短いな」

「今日は、始まりが少し遅かったですからね」

桜が苦笑いする。