デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

すると王は一瞬驚いたような表情をして、すい、と横を向いた。

「すまぬ、悪戯が過ぎた」

そのままスタスタと机に向かい、席につく。

「?…王様?」

いきなりの素っ気ない態度に、もしや怒らせたかと思い、あわてて横の席に座った。

「あのう、すみません、私…怒りすぎましたか」

こわごわのぞき込むと、その目元が淡く染まっている。

軽く睨むように、王が桜の目線を捉えた。

「……あまり、煽るような仕草をせぬがいい」

「へ?」

分からずにぱちぱちとまばたきする桜に、ハア…と脱力したような、悩ましげなため息をついた。

自分に寵を求めて群がる女たちの、色々な駆け引きや媚にうんざりさせられたのに、逆にその愛情が一番欲しいと願う少女が、こんなに鈍いとは。

こればかりは王だろうが神児だろうが、どうしようもない。

「……根気よく、私のものにしていくしかないのか」

桜に聞こえないくらいの小さな声で、呟いた。