デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

自己紹介が済んだところで、早速茶色の髪のフラウが「あ」と思い出したように桜に言った。

「そういえば桜様っ、ご存知ですか?薄紅女官が全員、お暇を出されたそうですよ!」

えっ?

驚く桜に、ルネもうなずいて付け足した。

「そう、突然。今朝我が君がご決定されて、もうついさっき、昼には退職金と一緒に、故郷に帰されたそうです」

「そ…それ、本当ですか」

呆気にとられて聞く桜に、フラウがずい、と近づいて教えだ。

「えーえ!もう、発表があったあとの深宮は、阿鼻叫喚だったらしいですわ!我が君が今日の政務に向かわれたあとの決定で、薄紅女官たちは懇願も、お別れもできなかったんですって!」

「…………」

なぜか、背中に一筋の汗が伝う。

本気だ。

王様は、本気で、私を………。

嬉しいというよりもむしろ、そら恐ろしくなった。

いくら彼女らへの気持ちがないとしても、少なくとも一度は肌を合わせ、身の回りの世話をしていた女性たちを、こうもあっさり切り捨てるなんて。

自分と桜の間の邪魔になりうるものは、ためらわず排除する。

そんな冷たい意思が感じられて、桜はごくりと喉を鳴らした。

なんだろう。胸の奥に、少しだけ恐怖を覚えた。