「そんな、向こう見ずな事をするでしょうか」
信じられないと言うように首を振る副武官長に、微笑みを向けた。
「いや…案外そうでもない。確かに、今の王都は街の規模の割に、武官の数が少ない。しかも、一番近い街でも、王都までは数時間の距離だ。『魔』の空を飛ぶ速さとは比べ物にならぬ故、汝らの応援も間に合うまい」
「………」
「そう青くなるな。手は打つ。まず神児に、王都に結界を張ってもらう」
全く慌てた様子を見せず、王は笑って言った。
「それから……そうだな、汝らにも早めに協力してもらわねばならん。追って国の全武官長に命令を出す故、必ず違えることのないよう、申し伝えよ」
「……はっ!」
全く芯のぶれない王の声に、冷静さを取り戻した彼は、力強く返事をして退出した。
戸が閉まったあと、王は心の中で独りごちた。
(……私が即位した頃には猿同然だった蛮族が、国を作り、ようやく頭を使うことを覚えおったか)
小癪な。身の程というものを知るが良い。
声もなく、唇の片端を持ち上げる。冷酷に伏せられたその目には、一片の慈悲もない。
彼の統治者としての、もう一つの顔だった。
信じられないと言うように首を振る副武官長に、微笑みを向けた。
「いや…案外そうでもない。確かに、今の王都は街の規模の割に、武官の数が少ない。しかも、一番近い街でも、王都までは数時間の距離だ。『魔』の空を飛ぶ速さとは比べ物にならぬ故、汝らの応援も間に合うまい」
「………」
「そう青くなるな。手は打つ。まず神児に、王都に結界を張ってもらう」
全く慌てた様子を見せず、王は笑って言った。
「それから……そうだな、汝らにも早めに協力してもらわねばならん。追って国の全武官長に命令を出す故、必ず違えることのないよう、申し伝えよ」
「……はっ!」
全く芯のぶれない王の声に、冷静さを取り戻した彼は、力強く返事をして退出した。
戸が閉まったあと、王は心の中で独りごちた。
(……私が即位した頃には猿同然だった蛮族が、国を作り、ようやく頭を使うことを覚えおったか)
小癪な。身の程というものを知るが良い。
声もなく、唇の片端を持ち上げる。冷酷に伏せられたその目には、一片の慈悲もない。
彼の統治者としての、もう一つの顔だった。
