デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その頃、王は遅めの謁見の真っ最中だった。

報告をあげているのは、王都から馬で一日ほどの距離にある街の副武官長だ。

「少々、気になることがございまして、まかり越しました」

「許す。面を上げ、楽に申してみよ」

「…恐れ入ります」

そう言って顔を上げたのは、日に焼けた、中年のガッシリとした男だ。顔に大きく残る傷が、彼の長年の経験を物語っている。

「では、申し上げます。わが街での、『魔』の出没する頻度が上がっております。それも、これまでのような二、三匹での襲来ではなく、数十、百を越える群れでのものが増えております」

「………」

「聞いてみたところ、わが街のような、王都周辺の都市はどこも同様らしいのです。【地下の門】が無いにもかかわらず」

「…成る程」

椅子の肘掛けに肘をつき、握った手に頭をもたせかける。

頭を働かせるときの、王のクセだった。

「その件に関しては汝が言うように、他の街からも報告書が上がっている故、予も承知している。……大体で良いが、これまでの被害の規模を申してみよ」

は、と一礼し、副武官長が続けた。

「奴らが街の上空にとどまるのは一時間ほどでございます。人的被害は…おおよそ数人から十数人かと」

「やはりな。他の街も似たようなものであるのは知っているか」

「はっ」