「う!」
首をおさえ、よろけながら足を運ぶ。
ずんずんと、桜の歩幅など気にするそぶりを見せず、まるで砂袋を運ぶかのように桜を引きずりながら大股で路地を進む男。
「く…苦し…やめて!離して!」
大声をあげて、桜は身をよじるが、とうてい敵う力ではない。
それでもなおも抵抗していると、男は濁った目でギラリと桜をにらんで―
バチン!!!
分厚い手の、強烈な一撃が桜の左ほほを襲った。
脳が揺れたのか、クラクラと視界がゆがんで、血の味が口に広がった。
あまりの衝撃と痛みで、その場に倒れこんでしまう。チッと舌打ちの音が聞こえたかと思うと、わき腹を蹴りあげられた。
「ぐ…は!!」
一瞬息ができなくなる。
次の瞬間、前髪を乱暴に引き上げられ、グイと男の顔が迫った。
