デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

でもいきなり想いを打ち明けられても、まだよくわからないというのが、正直な気持ちだった。

(王様は、優しいし、もちろん嫌いじゃない)

じゃあ王が桜に抱く思いと同じ意味で『好き』かと聞かれたら。

(うーん………わからない…)

王は待ってくれるらしいが、いつ自分の気持ちがはっきりするのかは、桜にもわからなかった。

第一、こういう経験は全くしたことがなかったから、これから王に対してどう振る舞えばいいのかもわからない。

頭を抱えている間に、馬車は三ノ所に到着した。

御者が桜を振り返る。

「到着致しました。お帰りまで、下でお待ちしております」

「あ…ありがとうございます」

頭を下げて、入り口までの階段を上がっていくと。

「アラ。まだ生きてたのね、子豚娘」

「シディさん!」

相変わらず派手な格好のシディ御衣統括長が、入り口で待っていた。

「わざわざ、出迎えに来てくださったんですか」

歩み寄る桜に、シディは腕を組み、ツーンと鼻を斜めに上げる。

「しょうがないでしょっ。我が君直々のご連絡だもの」

「ありがとうございます。迷わずにすみました」

頭を下げる桜に、フン、とシディは鼻を鳴らして回れ右をした。

「ホラ、さっさといらっしゃいっ。アタシだってヒマじゃないのよっ」

過剰なキャットウォークの後について、【衣の司】の中へ入った。