フード付きのケープを被って、馬車の桜はキラキラとした風を受けていた。
この道を通るのは初めてここに来た夜以来だが、昼は多くの文官や武官、食事を売りに来る商人まで居て、全く違った顔を見せていた。
『統括長には、私の方から話を通しておく』と王は言っていたが。
(そんな余裕、あったのかな…)
というのも、あの部屋を出てしばらく行くと、パニックになった文官たちと、謁見の待ちぼうけを食らわされている人達が、近侍や近衛に詰め寄っていたのだ。
冷や汗をかく桜に対し、いつものゆとりのある表情を取り戻していた王は、ふふん、と笑った。
「これは良い。皆、王の苦労を少しは思い知ればよいのだ」
つい今しがたまで、精一杯の告白をし、自分の肩にすがるように寄りかかっていた人と同じとは思えない。
(告白……)
さっきの時間を思い出し、真っ赤になる。
すぐに応えなくてもいいから、考えてくれと言っていた。
(全然、理解できない………なんで、よりによって私?)
あんなに綺麗で、何でも持っている人が。
どんな美人だって、どんな才女だって、よりどりみどりだろうに。
(私が男だったら絶対やだよ、こんなデブス)
でも、あんな真似をしてまで、私に信じてほしいと言っていた。
(……庶民と違って、高貴な人はヘンな趣味なのかも)
無理矢理そう納得した。
