デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「………」

静かに、両手で覆われたその横顔に顔を寄せた。

「桜……」

「なん、で………こんな事、するんですか……」

小さな声で、まだ震えながら桜が王を責めた。

「私は、ちゃんと、私の役目を……果たしてから帰るって、言ってるじゃないですか………」

その言葉に、ぎゅっと王の手が寝台のシーツを握りしめた。

「何で、無理矢理、こんな事しようとするんですか…!また、私の意思なんか無視して……」

「桜」

「触らないで!」

肩に置こうとした手を、激しく拒絶され、王は苦しげに目を細めた。

震える唇を、そっと開く。

「……では、私が言葉を尽くしたところで、そなたは信じたか?」

ふと、桜は覆っていた手を外した。

「私がどんなに、そなたといることが嬉しいか言っても…そなたとて勝手に、私の心を決めつけたではないか」

「………」

「私が……」

ぐっ、と胸の苦しい切なさが、言葉を途切れさせる。

「私が、もしそなたを愛しているといくら言ったところで、信じはしなかっただろう?」

「え……」

驚きに、思わず涙が止まる。