デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

黙って方法を見つけて、黙って去るつもりなのか。
私に、本当のことをそなたに伝える機会も与えないまま。

怒りにも似た感情が、心を満たしていく。

「じゃあ、場所だけ教えてもらって、歩いて行きます」

事もなげに言った桜に、ついに王の心のタガがはずれた。



気がつくと、無理矢理桜の腕をつかんで、歩きだしていた。

後ろから、狼狽した臣下たちの声が聞こえてきたが、何を言っているのか分からない。分かったところで、足を止める気はなかった。

「痛!痛いです!放してください!」

桜が苦しそうな声を上げて、もう片方の手でがっちりとつかんだ王の手を叩くが、全く放されない。

引きずられるように連れて行かれた先は、公宮内にある、王の休憩室だった。

戸を開けるが早いか、桜を部屋の中央にある寝台に放り投げる。
乱暴に後ろ手で戸を閉め、腕の痛みに顔をしかめて起き上がろうとする彼女を押し倒した。

「きゃ…」

ボスンという背中の衝撃に、ぎゅっと目を閉じる。

はっ、と状況に頭が追いつき、慌てて上半身を起こそうとする桜の顎をとらえて、唇を自らのそれでふさいだ。