広い浴槽に身を沈めて、軒先から広がる星空をぼんやりと見た。
“その輝きに人は心を奪われるが、星は人が感じるよりもずっと遥か彼方にあって、命あるうちには決してその姿をつかむことができない”
もう何百年も前、彼が王になりたての頃に教わった、天文博士の言葉がふとよみがえった。
焦がれるだけなら、いっそ星なんか無いほうがいいと思わないんだろうか、と思ったものだ。
けれど、一度その美しさを知ってしまったら、やっぱりその姿を求めずにはいられないものですよ、と博士は笑った。
(……桜…)
ぐっと唇を噛む。
自分は、誰にも興味がなかった。誰かに肩入れしていては、とても長い時の中を生きてなどいけない。
あの女官たちだって、ただそのときに愛でたいと思っただけの女性たちだ。それ以上ではありえない。ただ、自分の寵を欲しがって群がるから、時々それを分けてやる。
それだけだ。自分が王である以上、誰にも文句は言われない。誰も不満はないはず。
けれど、桜には知られたくなかった。薄紅女官の存在を。
(……軽蔑されたかも知れない)
そう思うと、胸がえぐられるように痛んだ。
“その輝きに人は心を奪われるが、星は人が感じるよりもずっと遥か彼方にあって、命あるうちには決してその姿をつかむことができない”
もう何百年も前、彼が王になりたての頃に教わった、天文博士の言葉がふとよみがえった。
焦がれるだけなら、いっそ星なんか無いほうがいいと思わないんだろうか、と思ったものだ。
けれど、一度その美しさを知ってしまったら、やっぱりその姿を求めずにはいられないものですよ、と博士は笑った。
(……桜…)
ぐっと唇を噛む。
自分は、誰にも興味がなかった。誰かに肩入れしていては、とても長い時の中を生きてなどいけない。
あの女官たちだって、ただそのときに愛でたいと思っただけの女性たちだ。それ以上ではありえない。ただ、自分の寵を欲しがって群がるから、時々それを分けてやる。
それだけだ。自分が王である以上、誰にも文句は言われない。誰も不満はないはず。
けれど、桜には知られたくなかった。薄紅女官の存在を。
(……軽蔑されたかも知れない)
そう思うと、胸がえぐられるように痛んだ。
