そろそろと腕を解いて、カナンは静かに言った。
「……我が君も、そうだと思う」
「え?」
「その…薄紅女官の事をおっしゃらなかったのは……」
桜をあざむいたり、気を使って言わなかったのではなく、単に彼女に知られたくなかったから。
あの、桜の部屋で震えるような声の王の謝罪を聞いていたカナンには、そうとしか思えなかった。
桜はここに来てまだ間がないから分からないだろうが、彼女を前にしたあの表情は、おそらく誰も見たことがないだろう。
そして、確かに王は臣下への気遣はをするが、嘘偽りを言ったことなど一度もない。
当然、桜に嘘やごまかしにまみれた言葉を言ったはずがない。
全て本当のことだ。
王は、きっと今傷ついているだろう。桜に、真心から言った言葉を単なる口先だけのものだと思われ、薄紅女官の存在を知られた。
(自分が説明すれば、おそらく桜の誤解は解けるだろう)
カナンは思う。―――だが。
(お許しください、我が君)
「いや、何でもない。帰ろう、桜」
彼女の手を取り、深宮を後にした。
「……我が君も、そうだと思う」
「え?」
「その…薄紅女官の事をおっしゃらなかったのは……」
桜をあざむいたり、気を使って言わなかったのではなく、単に彼女に知られたくなかったから。
あの、桜の部屋で震えるような声の王の謝罪を聞いていたカナンには、そうとしか思えなかった。
桜はここに来てまだ間がないから分からないだろうが、彼女を前にしたあの表情は、おそらく誰も見たことがないだろう。
そして、確かに王は臣下への気遣はをするが、嘘偽りを言ったことなど一度もない。
当然、桜に嘘やごまかしにまみれた言葉を言ったはずがない。
全て本当のことだ。
王は、きっと今傷ついているだろう。桜に、真心から言った言葉を単なる口先だけのものだと思われ、薄紅女官の存在を知られた。
(自分が説明すれば、おそらく桜の誤解は解けるだろう)
カナンは思う。―――だが。
(お許しください、我が君)
「いや、何でもない。帰ろう、桜」
彼女の手を取り、深宮を後にした。
