デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「お世話になっていますから、ちゃんと私の世界のことは王様がご満足するまでお話します。でも、それ以外では王様に私は必要ありませんから」

「な……」

昨日、『体に気をつけなきゃですね』と言った少女と、同一人物とは思えない。

自分でも意味がわからないほど動揺している。

「なぜ、そんな事を言い出す?私は、そなたと話すのが楽しみだと…そなたが、私と対等に話してくれることが嬉しいと…言ったではないか」

「私じゃなくても、王様に寄り添って、たくさん話をしてくれる方は大勢いらっしゃるじゃないですか」

淡々と話しながら、夕日に気づいた桜は立ち上がる。

「そなたは、では、私がただそなたを喜ばせたいがために、気を使って、耳に心地のいい事を言っていると言いたいのか」

怒りとも、悲しみともつかないものが胸にこみ上げ、手が震えた。

「違うんですか」

「違う!!」

王も立ち上がり、厳しい顔で桜を見下ろした。

「そなたほど、私と芯から話してくれる者はいない。本当の私に…添おうとしてくれた者はいない」

「それは嘘です」

真っ直ぐ紫の瞳を見つめて、桜は言った。

「じゃあどうしてさっき私が質問したとき、薄紅女官さんのことをおっしゃらなかったんですか。本当に私をそういう風に思ってくださるなら、なぜ隠すんですか」