デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

しん、と部屋に沈黙が横たわる。

「桜。私は何かまた、そなたに無体なことをしたか」

止まらない胸の違和感に、たまらず王は聞いた。

「いいえ?そんなことないですよ。十分、気を使っていただいてます」

桜は笑って首を振った。
これは本当だ。だから、勘違いしそうになったのだ。

「だったらなぜ――」

なぜ、こんなに寂しいのだろう。
急に一人で放り出されたようだ。

必要最低限しか、桜が言葉を言わないからだと気づいた。

きらきらとした瞳の輝きは、静かに鳴りを潜めている。

「…そなたに、もっと話してほしいのだ。昨日までのように」

紫の瞳が揺れて、眉がひそめられた。

「じゃあ、ご質問は何ですか」

「違う、そうではなく……」

上手く言えない。

「…昨日までは、もっと他愛のない話もしていた…そなたも、こんな、報告のような話し方はしていなかったはずだ。なぜ今日になって」

「自分の分をわきまえようと思っただけですよ」

「分?」

王が怪訝そうな顔をした。

「あの、王様。私にまで気を使って下さらなくて結構です。私、そうやって優しくされることに慣れていませんから、危うくとんでもない思い上がりをするところでした」

「何を、言って……」