デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

いつもの豊かな表情ではなく、どこか虚ろで、すがるような彼女の瞳が、カナンの胸を揺さぶった。

そっと、手を伸ばす。小刻みに震える左手が、ゆっくりと桜の右手に近づいた。

その指先が触れた時、自分の体が彼女を拒絶しないかと、ビクリと一瞬震えたが。
こみあげたのは吐き気ではなく、桜への胸いっぱいのいじらしさだった。

ギュッとその白い右手を包むように握って、そっと引っ張る。

「………行こう。お前なら大丈夫みたいだ。このまま、深宮まで行くから。帰りも、お前が望むんだったらこうやって帰ろう」

そこで初めて、桜がほっとしたように笑った。

温かなその手が、とても心強い。

「ありがとう、カナン。カナンがいてくれてよかった。仲良くなれて、よかった」

今だけ、甘えよう。このキレイな友達に。

桜はそう思った。

そしてカナンは、いつもこうして、彼女に必要とされたい。

そう思っていた。