デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「!…桜様、薄紅女官にお会いになられたのですか」

二人のうち、茶色の髪をした女官が口元に手をやった。

「う…薄紅女官?」

なんだろう、そのおかしな名前は。

「衣の色から、そう呼ばれているんです。深宮の奥の、王のお部屋の近くに勤務しているので、まずお客様の目に触れないと思うんですが」

そう言って首を傾げるのは、もう一人の青い髪の女官。

「そうなんですか…さっき深宮に行ったら、入り口の所で応対してくださったんです」

「ああ…その時間に行かれたら、そうかもしれませんね」

青い髪の女官が、少し苦笑いして頷いた。

「?時間によって違うんですか?」

「ええ、夕刻には普通の女官は皆退出して、宮の外は近衛が警護にあたり、中は王と薄紅女官たちだけになりますから」

「へー…それはまた、どうして…」

人手が要らなくなるのかなあと思いながら、桜がモヘッとした疑問を口にすると、二人がズズイ、と顔を寄せた。

どんな世界でも変わらない、ゴシップや恋バナ、そしてちょっぴり大人な話が大好きな女の子の、顔の輝きだ。

「王のお世話をするためですわ」

「ああ、さっきも王のお世話は自分たちがしてるって言ってましたね」 

「そうなんですよ!あの中では熾烈な争いがあるっていいますから。深宮は、むしろ夕刻からが勝負って言いますわ」