デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「あ、でも」

“武官二人では満足できないか”と言われたことを思い出し、桜は言った。

「カナンさん、勘違いしないでくださいね。私シュリさんとアスナイさんとは、その……そういう関係じゃないんですから。お二人は、私の命の恩人なんです」

あらぬ誤解があったら、二人にとってはいい迷惑だろう。

第一、カナンが言ったような色じかけなんて、デブスで自信のない自分にできるわけがない。

「そんな事できたら、多分もうちょっとマシな生活送ってました」

ふう、とため息混じりにボヤいた。

カナンは首をかしげる。

そんなはずは。

王に謁見した時や、別れを告げていた時のあの武官二人の表情は、どう見ても友情ではなく、異性に向ける愛情だった。

でも。

「…そうですか。分かりました」

―――別に、わざわざ教えなくてもいい。そうこの娘が思っているなら、そのままで。

なぜか、そんな思いがとっさにカナンの胸に湧きあがった。