デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

退出しようとする女官を呼び止める。

「ちょ、ちょっと待ってください」

(ええと…さすがに全部は王様に悪いから)

2つの菓子を取り、残りを菓子盆ごと、女官に差し出した。

「これ、皆さんで食べてください」

二人の若い女官は目を丸くする。二人とも、桜と同じくらいの年頃に見えた。

「……いえ、でも…」

こんな事を言われるのは初めてなのだろう。困惑したように顔を見合わせている。

「私じゃ食べきれません。もったいないですから、休憩の時とかにどうぞ」

「……でも、我が君にお叱りを受けます」

ぶる、と一人が小さく身体を震わせた。

「私の分はあります。それに、もらったのなら後は私の好きにしていいでしょう?」

あまりこういう考えは好きではないが、他に思いつかない。

「後で多分、王様と会うので、私からも言っておきますから。……お菓子、もしかしてみなさん嫌いですか?」

「いっ、いえっ、そんな事は…」

二人の目は、菓子盆をキラキラと見つめている。

思わず桜は笑った。

「…一緒ですね。私のいた世界でも、女の子達は皆甘いもの好きでした」

どうぞ、ともう一回すすめる。

「…あ…ありがとうございます…」

戸惑ったまま何度も頭を下げ、二人は退出した。