デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「買いかぶりすぎです」

首を振り、肩を落として桜が呟いた。

「私……カナンさんに、本当にひどい事を言いました」


“あなたには出来ないわよ。ちっぽけな王宮の中で、王様の金魚のフンなんかやってるあなたには”

“欠陥人間”

カナンにとっては、この上なく残酷な言葉だったに違いない。

「どう謝っていいか、わかりません…きっと、許してなんかもらえない」

そう言うと、王がフッと笑う気配がした。

「そなたが、カナンに許しを乞うのか?まるであべこべだな」

思わず桜は顔を上げた。

「どうしてですか。あべこべなんかじゃないです。だって、私よりきっと、傷ついた。確かに、シュリさんとアスナイさんの事を言われたのは頭にきました。それは今でもそうです。でも…」

「カナンは近侍で、そなたはそのカナンが仕える私の客人だろう?」

「いいえ、関係ありません。王様はカナンさんより偉くても、私はそうじゃないもの。私は王様の家来じゃないけど、カナンさんだって、私の家来じゃない」

後悔に揺れる桜の瞳を、じっと見つめた。

「……本当に、そなたは面白い娘だな」

そなたに、あのシュリとアスナイが惹かれたのも、うなずける。

そう言いかけて、王はやめた。

理由は自分でも、わからなかった。