デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「……その時、たまたま私は狩りに出ていてな。夕時、近衛の一人が、道の端で倒れていたカナンを見つけたのだ」

固まって動けない桜。

「カナンは当時、だいぶ精神がやられていた。人の心だけは、神力でもどうにもならぬ」

カナンが王に自分のことを切れ切れに話したのは、三月も経ってからだった。

「私に仕えさせてほしいと、必死に乞うてきた顔を、よく覚えている」

王は薄く目を閉じた。

必ず一年で、教養武術を同い年の若者と遜色ない、いやそれ以上にしてみせます、と、頭を床につけた。

「見上げたもので、その言葉に偽りはなかった。生きるため、自分を活かすため、血を吐く努力をしたに違いない」

正式に王に仕える事になった時、カナンは、

「……武官練成校に入り、王都武官になりたいと言った」

「!」

思わず桜は息を呑んだ。

才能は十分だった。だが。