デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「桜!」

パッと、花が咲いたように笑い、王は彼女のもとに歩み寄った。

(うう……やっぱ、眩しい………)

そうっと、王の両手が優しく桜のそれを取る。
ファーストキスであんなに怒ったくせに、許した途端にこれで赤面してしまう自分が情けない。

「ありがとう、桜。……何か、詫びというか、礼がしたい。欲しい物はないか」

えぇ!?

「いえ、それはいいです!私だって王様のこと叩いちゃったし」

びっくりして頭を振る桜。すると、

「だが、それでは私の気が……」

少ししゅんとなって下を向く王。
謁見の間で見た、冷たくも圧倒的な雰囲気をまとっていた時とは大違いだ。
不覚にもちょっとかわいいと思ってしまったのは失礼だろうか。

「え、えと、じゃあ……また、お茶とお菓子、食べたいです」
「菓子?」
拍子抜けしたように、王がまばたきした。 

「はい。また、お話するんですよね?昨日のお菓子美味しかったから、また食べさせてください」

「………」

王は少し不満そうな顔をしたが、少しして小さく笑った。

「…わかった。用意させよう」