デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「私の傲慢さゆえに、そなたを傷つけてしまった。許せ。…いや、許してほしい」

「………」

「また昨日のように、素直なそなたのまま、私と話をしてほしいのだ。…仮面をかぶり、本心を隠して私に媚びるような、宮中の者たちのようにではなく」

自信なげに、慎重に紡ぐその言葉には、いつものようなどこか空虚な感じはない。

「虫のいいことを言っているのは分かっている。だが…そなたは私を王としてではなく、ごく普通の、一人の人間のように接してくれた。……嬉しかった。だから…」

また言いよどむ王を見て、桜は小さくあきらめのため息をついた。

(もー、反則だよこんなの……こんなに王様に一生懸命謝られて、許さないなんてこと、できないよ)

美形の誠意を込めた謝罪よりも軽いなんて、吹けば飛ぶような価値のファーストキスだ。

「…もう、いいんです。おっしゃっていることはよくわかりました」

王にそっと言うと、はっと紫の目を見開いて、桜を見つめた。

「桜……」

「私の方こそ、すみませんでした。王様なのに、思いっきり叩いちゃって…痛かったですよね。女官の方や、カナンさんにも見られたんじゃないですか?恥ずかしい思いをさせて、ごめんなさい」

深く頭を下げた。