デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(カナンさんだって、さんざん私にひどい事言ったもん。おまけに、シュリさんとアスナイさんの事までバカにして)

…でも、カナンからは物は投げられなかった。

部屋から出ていったときの、青く引きつった横顔が思い出される。

「………」

自分の心に延々言い訳をしていたが、そのうち湯あたりしそうになったので、浴槽からあがった。

服を着て、ごしごしと頭を拭く。

外に目をやると、もうだいぶ日が高い。

(……王様のお仕事、終わったのかな)

もし会っても、どんな顔をすればいいんだろう。

顔を見て話なんか、できそうにない。

悶々と悩んでいると、戸が叩かれた。

(はあ……きっとカナンさんだ)

「…はい」

渋々返事をした。

すると引き戸が開かれたが、入ってきたのはカナンではなく、王本人だった。

「!?」

びっくりして、動きが止まる。

王はアクセサリーは外していたが、昨日のような格好ではなく、豪華な上衣を着ていた。

政務が終わって、直接自ら桜の部屋へ訪れたのだ。