デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

謁見と言っても、事務仕事と大差はないと王は思う。

報告と請願が主で、これもよどみなく裁定を下していく。

後は、王に媚を売って、少しでも待遇のいい部署に回して貰おうとする者や、自分の娘や姪を女官に差し出し、あわよくば寵愛を得させようとする者。

―――愚かで、可愛いものよ。

今目の前で、必死に自分に取り入ろうとしている中年男の赤子の時代も知っている王は、小さく苦笑いを浮かべた。

何世代も、同じような光景を見てきた。

そして、きっとこれからも。

謁見は二時間ほどで締切られる。
最後の者の請願を聞いてやり、相手が退出すると、王は椅子から立ち上がって伸びをした。

さっさとこの鬱陶しい耳飾りだの額飾りだのを取りたいが、次は神児の使者から神告を聞く時間だ。

重要度の高い神告がなければ、その場で指示を出して仕事は終わりになる。

もう一度椅子に座り直し、使者が通されるのを待ちながら、桜のことを思った。

また、話がしたい。見知らぬ世界の話を。

自分が連れてこいと命じれば、首に縄をつけてでも連れてこられるだろう。
だが無理矢理そうしても、今はきっと昨日のようにくるくると変わる表情や、彼女の素直な言葉は聞けまい。

それでは嫌だった。

一つの小さな決心を固める。

小さく息をついた時、戸が叩かれた。

「我が君、ご使者をお通しいたします」