デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「カナン」

その時、腕輪をパチンと留めなおしながら、王が呼び止めた。

「はい」

「私は昨日、お前に客人を変わらずにもてなせと言ったはず。侮辱せよとは命じておらぬ」

ハッとして動揺を顔色に映すカナンに、王は厳しい目線を向ける。

「忠誠をはき違えるな。次、命に背けば、王宮を追われるのは桜ではなくお前の方だぞ」

「……はい」

恥ずかしさに足が震えながら、深く頭を下げた。

それを見て、少し顔の表情を和らげる。

「…自分の心は、他人を傷つけたところで救われはしない。お前がいくら桜を忌み嫌ったとしても、お前自身を貶めるだけだ。よいな」

そう言って、カナンの脇をすり抜けて謁見の間に向かった。