楽しくもない一日が、今日も終わった。
クラスメイトの談笑の声から逃れるように、山神桜は鞄を抱えて立ち上がる。
パツンパツンに張ったブレザーの背を丸めて、そそくさと教室を出ていく。
そんなことをしなくても、クラスの中に誰一人として彼女に『バイバイ、また明日』なんて声をかける者はいない。
――17歳。
輝くように瑞々しく、夢見るような、それでいて大人への変貌がわずかに始まる季節。
誰しもがそうだった。そう、見えた。
けれど彼女は、山神桜は長い前髪で顔を隠すようにうつむきながら、初冬の帰り道を早足で歩いていた。
「本屋に寄って帰ろ……あ、あとお菓子も」
まだ学校から何百メートルと歩いていないのに、桜はふうふうと鼻から息をつく。
お目当てのライトノベルと、本屋の近くのドラッグストアで安売りしていたスナック菓子の袋とチョコ菓子を抱えて、バス停でバスを待った。
