デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜は、長い渡り廊下を走っていた。
横から差す夕日が眩しい。

ひどい。ひどい。

『今日の礼だ』なんて。

何て傲慢な人だろう。

いくら私がデブでブスだからって、いくら自分がきれいだからって。

何で『少しいい思いを恵んでやる』みたいな言い方されないといけないの。
あの人には分からないんだ。

ずっと王様で、自分がきれいって分かってて、みんなにちやほやされてる人には。

暴力を振るわれるより、暴言を吐かれるより、こういう薄っぺらい哀れみが一番惨めになる事なんて。

客用の宮に着き、一人で部屋に入る。
ぶわっと涙があふれて、桜は寝台に突っ伏した。

…初めてだったのに。最悪だ。

昨日会ったばっかりで、何でこんな事するの。

まだ、自分に愛情を持ってくれている人なら。自分が好きになった人なら救われる。

でもそうじゃない。

異世界人だから、デブスだから、王様がしてくれるなら喜ぶと思ってるんだ。

何が『客人』だ。

大嫌い、あんな人。