デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「待て。…ならぬ」

髪を整えながら王が言うと、カナンは驚いてふり返った。

「何をおっしゃいます。それでは示しがつきません。あの女、恐れ多くも我が君を」

「カナン」

低く、威圧するかのような声で、その先を封じた。

怜悧な目の光で、カナンの緑の目を射る。

「私の客人を、あの女などと呼ばぬがよい。不敬ぞ」

「………っ」

震える拳を袖の中で握りしめ、頭を下げた。

「………出過ぎた、事を、申しました……」

「無礼を働いたのは、私の方だ。あの娘に落ち度はない。変わらずにもてなせ。よいな!」

鋭く言い、自室に戻って行く王の後ろ姿を、カナンは唇を噛んで見送った。