デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

――――!!!

目を見開き、頭が真っ白になる。

これは、一体。

そして理解が追いついた次の瞬間。

パン!

乾いた音が響いた。

入口の外に控えていたカナンが驚いて様子を伺うと、桜が右の手を振り抜いた格好で、小刻みに震えている。
そして王が左頬を右手で押さえ、乱れた髪の間から驚いた顔で桜を見ていた。

思わず息を呑む。まさか、この女。

「何、するんですか!!」

「さく…」

「ひどい!いきなり、こんな…!何で!?有難がるとでも、思ったんですか!」

ぴくり、と王の指先が震えた。

視界が急速にぼやけていく。たまらずに、桜は身をひるがえした。

振り返りもせずに、渡り廊下を駆けていく。

「我が君、ご無事ですか」

顔を青くして、カナンが駆け寄る。

わずかに赤くなった主君の頬を見て、桜の走り去った後を睨みつけた。

「即刻、近衛を呼んで首を落としましょう。鳥の餌にしても飽き足らない重罪です」

一礼して宮を出ていこうとした。