どのくらいの時間、そうしていたのか。

涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔から、桜は手を外した。

弱弱しく地面に手をついて、フラリと立ち上がる。足がひどくしびれていて、倒れそうになるのをかろうじて踏みしめた。

どうすればいいのか全く見当はつかなかったが、ここにいたところで何の解決にもならないということはよくわかった。

不安でたまらないが、人のいるところまで降りて、助けを呼ぶしかない。

でも、果たしてそううまくいくだろうか。

明らかに桜のこのなりは異様にうつるだろうし、第一言葉が通じる保証はない。

「でも…行かなきゃ…」


恐怖と不安に手足が震えたが、桜は街に向かって大きな土手を下りはじめた。