デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「…私は、あの庭師のようなものだ」

ぽつりと、王が言った。

「国民が増え、国が富むようにその管理をする。国民である花の芽が出れば喜ばしく思うし、立派に育てば誇らしく思う。2つの花が実を結べば楽しみだ。そして、枯れれば物悲しい」

一度、薄く目を閉じて、桜の隣に戻ってきた。

「その繰り返しだ。ずっとな」

「………」

「だから、そなたが来てくれて私は嬉しいのだ。私の知らない世界の事を、そなたは知っているからな」

桜は、何とも言えない気持ちだった。

自分が若いまま周りがどんどん年を取り、自分を置いていくのを見送るのは、どんな気分だろう。

桜のいた世界でも、『不老不死』は昔からの人類の夢だったと思う。

でも…

「幸せでしょうか、それって」

ふと浮かんだ疑問が、口からこぼれた。

茶器に唇をつけた王の横顔が、ピタリと止まる。

ぐい、と一気にそれを飲み干して、

「国民の幸せが、私の幸せだ。いい君主だろう?」

冗談めかして、笑った。