この世界には、『神』が存在する。
はるか上の天界にいるというが、太古の昔からこの星を守っている創造主であり、この世界の人間が死した後、その膝下へ還って行くと言われている。
そしてこの世界には、人の世の上に立つ者が二人。
『王』と『神児』だ。
人や世の中をを実際に統治しているのは『王』だ。
兵を使って内乱を収めたり、官をもって法や街を整備する。重罪人を最終的に処断するのも王の役目だ。
対して、『神児』には、そのような権限はない。
だが、神児は神の声が聞けるらしい。
神がこの世界にもたらす『神告』は、大きな内乱が起きるといった重要な事柄から、季節の変わり目や天気の急変と言った小さな事まで数多い。
神児はそれらを王に伝え、それをもって王が人の世の統治をするというわけだ。
もう一つ、神児はこの世界で一番多くの『神力』を使える。王が要請した時にのみ、それを人の世の統治に使う事ができるのだ。
「…王様は、神力は使わないんですか」
桜の問いに、王は頷いた。
「使わないというより、使えない。王にそのような能力はないからな」
王は、人の世のすべてをを統治するが、神力や神告なしでこの星を治めるのは不可能だ。
神児は、強い神力を持ち神の声を聞けるが、一切の統治権限はない。
そうやってお互いに均衡を保っているのだ。
